2010615 ランダム
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第2話 リングにかけろ編

第2話 リングにかけろ編

これは、熱き情熱で結ばれた姉弟が、拳に夢をかける物語。

「うぎゃーーー!!!!!!」

「バウワウ!バウワウ!」

相も変わらぬ、叫び声をあげながら、なま太は、朝のラモ散歩に行っていた。

「おう、今日は昨日よりもタイムが縮まったで。やっぱり、パワーアンクルの成果やな。」

と、呟くドラゴえもんに向かって、なま太が哀願した。

「じゃ、じゃあ、特訓はもう終わりということで・・・。」

「鉛増やそか。片足3kgずつでどうや?」

「そんなに増やしたら歩けないよ~。」

「ラモ!行け!!!!」

「バウーーーー!!!!!」

「うぎゃーーーー!!!」

「なんや、まだまだ余裕やんか?もう、5kgずつ増やそ。」

鬼のような、ドラゴえもんの特訓を受けて、日に日になま太の逃げ足は研ぎ澄まされていた!

「早く、ご飯を食べなさい、なま太!遅刻するわよ!!」

しかし、パワーアンクルでは性格は鍛えられないのか、やっぱり毎日、遅刻寸前だった。

「行ってきま~す。」

遅刻寸前で教室に飛び込んできたなま太を見て、舌なめずりしているヤツがいる。
もちろん、ジャイアンである。

「いつも、遅刻寸前のなま太をクラスメートの俺様達が特訓してやろうぜ!」

余計なお世話である。

放課後、校庭に呼び出されるなま太。

「なんだよう。ボク早く帰らないと叱られるんだから~。」

「なんだと!なま太のくせに生意気だぞ!」

ジャイアンとならんで、なま太を責める某スネ夫。
彼は一体、何者なんだろう?

「これから、俺様達が追いかけるから、お前は逃げるんだ。追いつかれたら………分かってるだろうな?」

そう言いながら、ジャイアンが楽しそうに腕まくりをしながら、追いかけてきた。

それを見たなま太は、毎日の特訓の条件反射で一目散に逃げ始めた。

「はあ、はあ、ぜい、ぜい。」

なま太、早くも気息奄々である。
特訓の成果はどうなってる?

「おかしいな?」

「どうして、追いつかないんだろ?」

一応、それなりに逃げ足は早くなっているようである。

「も、もう駄目だ。」

足が棒のようになり、動けなくなったなま太は、ふとドラゴえもんとの約束を思い出した。

「ええか?このパワーアンクルは、特訓のために付けてるんやから、イザっちゅう時以外は絶対外すなよ!」

「今って、けっこうイザっていう時だよね?」

「なに、ブツブツ言ってるんだよ!」

「俺様達に追いつかれたら、どうなるか分かってるだろうな!」

「ひぃーー!絶対今がイザって時だよ!」

なま太は必死になって、両足のパワーアンクルを外した。

「か、軽い!まるで足に羽が生えたようだ!!」

襲いかかるジャイアンとスネ夫の間を、疾風のように駆け抜けるなま太!

「あ、あれ?」

「なま太のヤツ、何処に行った?」

校庭に残像を残して走り去るなま太の姿を、ジャイアン達は捉えることが出来なかった。
なま太は、始めて特訓の成果を思う存分に発揮する事が出来た快感に酔っていた。

ふと目の前を見ると、ちょうど横断歩道を渡ろうとしていた少女に向かって、よそ見をしていたトラックが突っ込んでくるところだった。

「あ!あれは、椎ずかちゃん!!危ない!今、助けるからね!!」

なま太は、トラックを追い越し、立ちすくんでいる少女を抱きかかえたまま、横断歩道の反対側まで駆け抜けた!

「大丈夫ですか、お嬢さん?」

おいおい、君は誰ですか?
すっかり、自信を持ったなま太は口調まで変わってしまっていた。

「あ、有り難うございます。あなたは命の恩人ですわ!」

振り向いたその顔は・・・・・!

「ジャ!ジャイアン!!!!」

「ちゃうやろ!!よう見てみい!スカートはいてるがな!」

「変態!ジャイアン!!!!!!」

「ちゃうわ!!!ジャイ子や!!!!!!!!!」

「あれ?よく見たら、ドラゴえもん??」

「しつこいな、自分!一人三役やっちゅうねん!!突っ込むなって言うてるやろ!!」

「気持ち悪い・・・。」

「なに言うてんねん!命の恩人のなまチャンにジャイ子、一目惚れしてしもたわ!これからは、ジャイ子がなまチャンの恋人ね♪」

「ひでぶ!!!!!」

回復不能の精神攻撃を喰らったなま太は、泡を吹きながら昏倒し、病院にかつぎ込まれた。
医師達の必死の看護を受け、三日三晩、生死の境を彷徨い、ようやく現世への帰還を果たしたという・・・・。

なま太が、二度とパワーアンクルを外すまい、と堅く心に誓ったことは、言うまでもない。

続くかも

また、つまらぬものを書いてしまった・・・・・・。


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